微細加工部品を必要とする研究者、開発者が開発、設計、加工の際に注意すべきポイントを以下に示します。
1.一部でも微細加工部分を必要とする場合は発注先の設備を確認
機械設備としては高速マシニングセンター(主軸30,000回転以上)、検査設備としては画像測定器が一つの目安になります。
2.できる限り市販で存在する工具に合わせて設計を行うとコストが抑えられる
メーカーの工具カタログには刃物の最小径や有効長が記載されており、それを目安に製品設計を行うことで特注工具のコストと作成納期の短縮を図ることができます。
3.隅Rを極力大きくすることでコストが抑えられる
微細加工部品については特に、工具の大きさはコストと納期に大きな影響を与えます。よって出来る限り、大きな工具が使用できるように設計上の問題ない範囲でRを大きく取ることが重要です。
4.曲面形状が少ない方がコスト、納期を抑えられる
曲面形状は通常、ボールエンドミルで加工します。ボールエンドミルの先端の1点で加工する為、工具が極小だと加工ピッチが細かくなり、従って加工時間に大きな影響が現れます。
5.微細部品のバリ処理
加工時にバリを出してしまうと、後処理が出来ず次の工程にそのまま移ることができません。依頼時にバリレス加工もしくは除去のノウハウがあるか確認することが重要です。
6.高額材を使用する場合、部品が小さいのでコストメリットが出る
微細加工部品の場合、高額材を使用してもごく少量しか使わないケースが多いため、性能の良い素材を用いることができます。その一方で加工にかかる時間、ひいては加工コストの見極めが材料コスト選定よりも重要になります。
7.工具径と加工深さの関係
工具を使用する加工では、必ず重要となります。特に工具が届かない深さの加工では特殊な加工方法を用いる為、コスト、納期に大きな影響を与えます。必要以上の深さと小径は避けて設計することが重要です。(基本的な目安として工具径の5倍を超えると特殊加工が必要になります)
8.面粗さについて
微細形状に対して研磨やミガキを行うことができない場合が非常に多くなります。面粗度は加工条件によって決まりますが、加工条件はコストと納期に大きな影響を与えます、必要以上の面粗度の設計を行うと加工コスト、納期が長くなってしまいます。必要に応じた面粗度を指定することが重要です。
9.材質による形状の制約
極小品では、材料強度によって形状に大きな影響がでます。硬いほうが形状を保ちやすいのですが、切削性が悪く工具が持ちません。逆に柔らかい材質では切削性はよいのですが、負荷に弱く、形状を維持することが非常に困難です。使用用途に応じた適切な材料選択が必要です。
10.微細部品の処理について
部品に行う、メッキや塗装、研磨やミガキについては打ち合わせと検討が必要にとなります。いずれも通常のメッキや塗装業者では対応できないことが多いので納期やコストに大きく関わってきます。